「あしためがさめたら、もう、エドはここにいないの?」










彼女は眠たげな声でたずねた。







彼は静かにうなずいた。










「それがどんなに恐ろしいことか、エドにはわからないでしょう?」










朝になっても太陽が昇らないのより恐ろしいわ。そうね、町の人が全て居なくなってしまうのよりも恐ろしいかもしれない。







彼女はそう言って寝返りをうった。











「俺もあした太陽が昇っての姿が無かったら、恐ろしくなるかもしれない」










自分の身体が、いや、アルの身体が戻ってこないかもしれないと思う時と同じ恐怖が身体中を襲うかもしれない。







彼はそう言って、、と呼んだ。













「でも俺は、のことを愛し」










「だめ!!」
















彼女はぎしりとスプリングを軋ませてベッドから起き上がった。










「それ以上言っては、だめ。それ以上聞いたらわたし、エドから離れられなくなってしまう」










彼女はうつむいて言った。










「ねえ、わかるでしょう?わたしとエドは、いっしょに居てはいけないの。エドがずっとここに住むことも出来ない。わたしがエドについて行っても足手まといになるだけ。わたしには、エドを困らせずにいっしょに居る方法なんて思いつかないのよ」










彼女は彼に、何度も何度も、ごめんねと謝った。








彼は彼女を、手を伸ばし抱きしめる事も出来なかった。














部屋に響くのは、彼女の嗚咽と、彼女のひたすらに謝る声だけだった。