さむくなった。空が灰色の眼でこちらを見下ろしていて地面はそんなの何とも思わない振りで眼を瞑っている。ああ、さむい。





「エド、」


「ん?」


「・・・なんでもない」





 振り向いた時に輝く金色の髪が好き。真実を見据えようとしている金色の眼が好き。真実を捕まえたら決して放そうとしない強い手が好き。自分の決めた道を疑わず真っすぐ進んでいく足が好き。聡明なお顔が、とてもすき。





「エド」


「ん?」


「がんばってね」


「・・・ああ」





 エドはこんなに素敵なのに、あたしには何か取り得があるかしら?精々エドの後姿を見ているだけ。それじゃあ意味が無いのよ。太陽もあたしと顔をあわせようとしてくれないの。何のお役にも立てないあたしじゃだめだって事くらいわかっているのに。
 だれもあたしに笑いかけてくれないの。さむい、さむい。