あいしてる、って言葉は残酷で残忍でひどく恐ろしいと思う。いつだってわたしはその言葉を恐れてしまう。向き合う心が欲しいのにいつもすくんでしまう。 ふ、と触れる瞬間にあなたの目はす、と優しくなる。嬉しいのと裏腹にほんの少しの恐怖が生まれてしまう瞬間だ。愛し合って意識をとばして眠って気付いたら朝というパターンは普段どおり過ぎて笑えてきてしまう。 「今日は何だか元気が無いね」 よく気が利くのはわたしじゃなくてロイのほう。そしてその度に嬉しくて仕方なく思ってしまうのはわたしのほう。気付いているのかいないのか。 「そんなことない、いつもどおりよ」 会話を上手く展開させられないのはわたし。そんなわたしを見て優しく髪を撫でてくれるのはロイ。好きだと思ってはいけないのに、いけない の に(だって彼は優しいからわたしのことなんてすぐ忘れて明日には次の女を抱いてしまう)(一時の嘘を信じてはいけない)(好きだと思ってはいけない!) 「強がりはいけないな、君は嘘が下手だね」 かわいいね、なんて、仔猫のように撫でられたらわたしはどうすればいいの?あなたはわたしにどうして欲しいの?好きという気持ちといけないという気持ちが混ざり合って涙としてあふれる。 「どうしたんだい?」 「なんでもないの、なんでもない。少し感傷的になっただけ」 「大丈夫、には私がついているのだから」 優しすぎるのは罪だ。なぜならわたしのように愚かな女はみんな騙されてしまうもの。 「あいしているよ」 ( わ た し の こ こ ろ を み だ さ な い で ! ) |