「つまり、結局どうでもいいってことでしょ?」


「さすがよく分かってる。まあ馬鹿でも解かるように説明したんだけどね」


「エンヴィーってほんと最低だよ」





さいてい、さいてい!呟いて吸収されかけた言葉たちは、エンヴィーのキスで全部消えてしまった。わたしは 涙なんて見せてやるもんか と、歯を食いしばって本をめくった。エンヴィーはそんなわたしをものすごく嬉しそうに見下した。





「我慢は身体に毒だよ」


「わたしのことなんて、ちっとも心配じゃないくせに」


「あらら、さっきのこと根に持ってんの?」


「あんたってどれだけ自由に生きたら気が済むの?」











わたしってば、そんなに可笑しな顔してたのかな。エンヴィーは自分を見上げているわたしの顔を見て、大声で笑い始めた。笑い転げた。わたしは何が何だか分からなくて、でもすごく腹が立って、読んでいた(実際内容なんて全然頭に入らなかった)本をエンヴィーに投げつけた。





「いったぁー何すんだよ」


「あんたこそわけわかんないよ!」


「なにが」


「なにが可笑しいのよッ」


「だって、すっごい泣きそうな顔してる」





エンヴィーはにたりと口元を歪ませてそう言った。こいつは、わたしの中のありとあらゆる感情を搾り出すのが上手すぎる。わたしはとうとう涙がこぼれた。ふえぇん、と。





ってホントに馬鹿だよねー」





エンヴィーは嬉しそうにわたしの涙にキスをした。











(お願いだから、どうでもいいなんて言わないで!)