さっきから彼は彼女のぎう、と抱きついている。
(それはもう壊さんばかりに)
彼女はぎゅ、と目をつむって彼の与える痛みに耐えていた。


「エンヴィー・・・くる、し」
「こんなんで苦しいの?」


ったら弱っちー、と彼は言った。


「悪かったですねあんたとは丈夫さが違うのよ」


彼女は小さく皮肉を込めて彼に言った。
彼はつまらなさそうに腕に力を込めた。


「どーしてこーんな弱いかなー」
「エンヴィっ、いま力ぎゅってしたッ」
「はー?被害妄想でしょー」


うそ、絶対したッと彼女は彼に訴えた。
彼は はー とため息をついて少しずつ、少しずつ言葉をつむいだ。


「このまま 砕い ちゃいたい なー」
「は?!なに馬鹿言ってんのっ」
「そーすればはずーっと腕の中に居るのに」


苦しい痛いだなんて言って騒がないのに、と彼は言った。
体がみし、と悲鳴を上げた。
と、同時に彼は彼女を持ち上げて、どさっとベッドの上に落とした。


「からだじゅうがいたい・・・・・・」
「あーやだやだ弱いなあ人間てやつは!」


彼は上を仰いで大きくそう言った。


おちおち抱きしめることもできないよ!