別に何も思わないわけじゃない。でもただひたすらに愛しいわけじゃない。殺意だ憎しみだ呪詛だと騒ぐほどの事でもない。泣き喚いたところで、あんたの表情は決して変わらないでしょうね。 「変えて欲しいのか?」 「まさか。今更変えられたって幻滅するだけ」 「なら、どうして欲しいんだ」 「中途半端な優しさなんて要らない。いつまでもどこまでもあんたは完璧じゃなきゃ駄目だよ」 「我儘な女だ」 あたしはその顔が好きだった。あたしに対して、どうしようもなく呆れた時に見せる疲れた顔。彼が「生きている」という事を思い出させてくれる唯一の表情。 「あんたの崩れるところなんて見たくない」 「思いあがるな」 「じゃあどうして、深くて暗いところに落としてくれなったの?」 「落とされたかったのか?」 「だから、そんな優しさなんて要らないって言ったのに・・・・・・!」 「愛していたんだ」 「崩れないで。完璧でいて」 「嫌な女だ」 「愛してたよ」 完璧じゃないあんたなんて要らないの。あたしの所為で崩れてしまうあんたなんか要らないの。あたしをいちばんに想ってしまうあんたなんか要らないの。(でもあたしは、いつもあんたの事をいちばんに考えてた) この不毛な無限ループ、切ってくれるのがあんただったら良かったのにね。 指名手配の裏側に |