COMEDY




























煙がゆらぐ。外の月なんて見えやしないんじゃ、と、疑いたくなるほどの煙。
彼は死んだ目をしている
死んだ目をしている
死んでなんかいないのに。
堪えかねてむせ返ってしまったあたしをやっと気付いたように修兵が見た。死んだ目をしている。ひょっとして死んじゃったの?あたしの知らないところにいるの?そんなことない、あんたはいまあたしの目の前で煙草を吸い続けてる。











「・・・・・ああ、」


「あんたはそうやってしんでいくの?」


「死ぬわけねえだろ」


「苦しいよ」


「苦しくない」


「この部屋のものはみんな死んでるよ、あんたも含めて。床も壁も障子も机も筆も書類もみんなあんたに犯されて死んでる」











修兵が煙をぷかりと吐いた。排他。その行為がいったい何の意味をもつのかしらーなんて考えるだけ無駄。あんたのつよいつよい煙草のつよいつよい匂い(煙)がこの部屋をすべて溶かしてしまおうとしている。あんたの五臓六腑もきっともうイカレてる。煙と共に修兵も消えてしまいそう。











「あんたのしてることはめちゃくちゃだよ」


「うるせえな」


「そんなことしてるくらいなら、東仙隊長でマスかいててくれてた方がまだマシだ」


「黙れよ」


「腐ってるよ」











この部屋もあんたももうすぐ腐って崩れ落ちて異臭を放つのではないか。そしていつの間にか無に還っていくのではないか。時と共にあんたが存在したことすら消えてしまうのではないか。
そうなったらあたしはどうするのだろう。

















「・・・・・・泣いてんのか?」


「煙が目にしみただけだ、ばか修兵」














あたしもいっしょに死んでしまえたらいいのに。