大体独りよがり、だからなあに呪うならそんなあたしに惚れた自分を呪えば?この世は許されないことが多すぎるね。許されないことを生み出したら死刑?ううんまさか、天才に決まってる!ずっと隣にいてくれさえいればいいの、じっとあたしを愛してくれればいいの。これでさえ高望みだと言われたら、あたしに生きる権利は無い。



「ねえごめんね、痛かった?」
「・・、いや」
「ごめん、ねえ」



愛はヒステリー。
ベタなミス、机の角に頭をぶつけたウルキオラが血を流した。でも突き倒したのはあたし。氷のように冷静沈着な彼の血もやっぱり赤くて、それだけで眩暈がする。血色の悪い彼の手が、顔が、額が、首筋が、嗚呼!赤く赤く染まっていく様は壮絶。ウルキオラの頭を支えるとぬるりとした感触。吐きそう。男は成長していくにつれ自分の血なんて見ないんじゃないかな。女は嫌でも月に一度見させられるというのに!





「いたい?きもちわるい?きもちいい?たのしい?ねえねえなにかいって」

「なあに?」
「愛してる」



何百回も聞かされた反吐の出るような言葉。そうやって言うからあんたは今血を流しているのに!力なくずるりと座り込んだウルキオラにつばを吐く。血だらけの彼の手は恐いので見ない振り。血を流してもなおその目の力は変わらず、あたしのおぞましい思考を全て飲み込みたがる。冷静な振りをして強欲なあなた、あんたの本当に手に入れたいものは何?胃の奥が痛い。



「死ぬ?」
「さあな」
「あたしを罵りたい?」
「いや」
「あんたなんて大嫌い」
「愛してる」
「嫌い」
「愛してる」




リバースしそうな胃液を飲み込んでひゃくじゅうきゅうばん、救急車。電話相手の不必要に優しい声に意識が飛びそうになる。なぜだか歯の根が合わないあたしをぼんやりと眺めていたウルキオラがあたしのまぶたに優しいキスをする。もうつばは吐かない。






ごめん嘘、なにもかもうそうそうそ。
あいしてる