moulin











あたしは全ての母親になりたかった。この世の何もかもを抱き締めてやりたかった。
母なる海よ、あたしがただの女であることを許したまえ。




「泣かないで、グリムジョー」

「だいじょうぶ、あたしはここにいるわ」




めそめそと涙を流すかわいいグリムジョー。すがりく青が、遥か遠い土地の湖に似ている。流れ着く先は誰も知らない未知の世界。誰もたどり着けないひとりぼっちの世界。あたしはそんなあんたを抱締めてあげたいの。




「ねえ、だいじょうぶよ。あたしずっとそばにいるわ。あんたをひとりぼっちになんて、絶対にしない」




青に触れながら遠い海を夢想した。いつかは触れて「おお我が子供たちよ」と抱締めてやろう。今のあんたみたいに。そうしたらもう寂しくないでしょう。朝焼けも夜空も雨もそから流星だって、みんなあたしたちのもの。みんなかわい子供たち。ああなんてスウィート。





「ああグリムジョー、夜が明けるわ」