かわいそうなれんじくんがあたしをだきしめる ちがうの本当は、だきしめてるのはあたしの方。かわいそうなれんじくんをだきしめるあたし。かわいそうなれんじくんはずっと苦しんでる。愛する人にどうしても手が伸ばせない届かないんだって。かわいそうに。あたしがれんじくんの立場だったらぜったい泣いちゃう!でもれんじくんはすでに泣いてる。あーあどうしてこんなに可愛い人を泣かせるの!信じらんない!! 「泣かないでれんじくん。だいじょうぶだよいつかきっと届くよ」 「無責任なこと、いうなよ」 「確かに責任はとれないけど、でもれんじくんがんばってるもんだいじょうぶだよ」 もう何年も何年も、さんざん打ちのめされたれんじくんはちょっと卑屈になってるみたい。傷ついた野生動物みたい。ピリピリしてる。でもそれが野兎みたいでちょっと可愛くて、あたしはまたきゅんとしちゃう。よしよしと頭を撫でると「てめえ俺をなんだと思ってんだ」と言われた。可愛い野兎ちゃん。 「れんじくんを苦しめるやつは、全部あたしがぶんなぐってやるからね」 「お前、物騒な女だな」 「愛があれば大概のことは大目に見られるような甘い世の中なんだよれんじくん」 一方通行の愛の矛先は間違えたら痛いだけ。だから間違えないようにきっちり前を見据えなくっちゃ!泣かせたくない喜ばせたい相手はおんりーゆーなの。お恥ずかしい! とりあえずなぐる相手はルキアちゃんと朽木隊長でいいのかしら? はかりごと |