ずっと宮地のことが好きだった。
最初は怖くて嫌な奴だと思ってた。優しくなくて、自分にも他人にも厳しい。私は嫌われてるのだと思ってた。でもそうじゃなくて、彼は誰よりもバスケを愛していたのだ。愛するものに愛されるために、彼は誰よりも愛される努力をしていたのだ。


けれど神様は彼にいちばんを与えてくれなかった。私たちの高校バスケット生活はいまここで終わった。
ああ神様、どうしてあんなに美しい人を泣かせるの?宮地は誰よりも厳しくて、凛としていて、美しい。彼がコートを走る姿を、ずっと目に焼き付けておきたかった。いつか終わりが来ることが分かっていたからこそ、終わりたくなんかなかった。永遠は存在しない。




「ねえ宮地」
「・・んだよ」
「こんなときに何言ってんだって思うかもしれないけど、私、ずっと宮地のことが好きだったよ」




きょうのダンク、泣いちゃった




3年生でやっとスタメンになれたことも、緑間が入部してきてイラついてたことも、でも人並みならぬ努力をする彼を心の底では認めていたことも、全部知ってる。そしてそれも今日でおしまい。私たちは愛する高校部活生活にさよならを告げるのだ。ありがとう。さよなら。愛してたよ。




「お疲れさま、宮地」




汗のにおい。ねえ、その涙に触れさせて。
さよならを告げて私たちは進みださなければいけない。
永遠は私たちの過去にしか存在しないのだから。









さよならを告げ









(120925)